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ステンレス鍛造について

鍛造学ブログ 担当の徳田です。


今年の春は例年より早く桜が開花し、気温が高くあっと言う間に葉桜になってしまいましたが、皆様はこの短い春をどのように楽しまれたでしょうか?

小生は休憩時間に弊社の近くの公園でお花見をしたくらいで、「花見で一杯」とはなりませんでした(笑)。

それよりもこれだけ連日の好天が続くと、近々ゴルフコンペがあるので確率的に当日の空模様が気になります、今日この頃です(笑)。


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さて、今回のブログは、少しでもお役に立つ内容を提供したいと言うことで、真剣な内容にいたしました。ズバリ「身から出た錆が身を守る?」...の巻です(笑)。


まず、この世にはたくさんの種類の加工材料、材質がありますが、鉄をはじめアルミニウム、黄銅、銅、樹脂等々の最終表面仕上げ(トリートメント)を施す方法の一つに「メッキ(鍍金)」があります。

メッキには色んなメリットがありまして、例えば装飾品のネックレスやブレスレットには金メッキや銀メッキ、ロジウムメッキ等を付けることにより、地金の色を隠して美しく見せたり、また耐食性を向上させたり、キズを付きにくくしたり等と、様々な効能があります。

しかし、ご存じのように「メッキは剥げる」という慣用句的言葉があるように、メッキ品の経時劣化の進行は食い止めることが難しいのですよ(苦笑)。


では、メッキしないでも錆びない金属は?と聞かれると、殆どの方は「ステンレス」とお答えになられますが... そうです。一応正解です!

でも厳密にいうと△なんですよね...。

と言いますのも、一般的にステンレス・スチールの主成分は鉄で出来ており、そこにクローム(Cr)という元素を12%以上添加し、錆びにくく改良したものなんですね。

また、ちなみに英語のStainは「汚れや錆」の意でLessは「無い」の意。二つの語彙を合成して錆びない鋼という意味があり、英語表記ではStainless Steelとなります。

実際には、ステンレスに含まれているCr成分と酸素が結合して、不動態被膜という肉眼では見えない薄い酸化被膜をつくっているので錆が進行しない訳なんです。

この被膜はとても薄いですが大変強いので、カネ束子などでゴシゴシ傷つけても周りにある酸素とCrが直ぐに結合し自己再生して被膜を作ってしまうのですね。

つまり、ステンレスは「錆びない」のでは無く、厳密にいうと「身から出た錆(酸化膜)が自分の身を守っている」という事です。ホント凄いですね~(笑)。

 
そんな錆びにくい特性を持つステンレスは、表面処理しなくとも素地のままで使えてしまうので、最近はジワリジワリと水栓金具業界に浸食中なんですよね(汗)。

例えば、黄銅製水栓金具部品の場合、加工後に研磨とクロームメッキを施してあの台所にあるピッカピカのワンハンドルのカラン(水道蛇口)等に変身するのですが、ステンレス材に変更すればメッキ工程が無くなるのでは?とお考えになられるお客様がおられますが、確かに黄銅からステンレスへ材質変更すれば材料費は安くなりメッキ費も発生しないので良いこと尽くめと思うケースが見受けられるのですが、そうは問屋が卸さない理由がありまして...。←古い(汗)

その答えは、時代や技術が進みチタンやインコネルといった難削材が加工できる時代になりましたが、実はステンレス(SUS304、SUS316)材も、やはり難削材の一つで、黄銅材やアルミニウム材に比べて加工コストは、かなり高くなるのですよ(笑)。

例えば黄銅材であれば、ドライ(切削油無し)切削加工が出来ますが、ステンレス材の場合は加工熱で発火する恐れがあるので、回転速度と送り速度を下げて切削油を掛けながら切削する必要がありますし、なにせ大変硬い材料なので刃具の消耗も早いので、その結果工具費も嵩むのですよね。

 
ですから、単純にステンレスの材料費のコストが黄銅より25%安いからと言っても、加工費を含めたトータル価格では逆に高くなるのが一般的なんですよ。

製法や材質によって加工費が変動することを、私たちがお客様に今まで詳細なご説明をあまり伝えてこなかった事は否めませんが、コストを中心に考えた場合、「身ら出た錆」の本来の意味とは真逆の意味を含んでいるのがステンレス鋼の特徴と言えるのは何となく面白いですよね~(笑)

鍛造や切削についてのお困りごとや疑問などございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせ下されば問題解決の一助としてバッチリとサポートさせて頂きますので、引き続き中野鍛造を宜しくお願いいたします。