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鋳造品から鍛造品に置き換わった製品事例

鍛造学ブログ 担当の徳田です。

今年の秋は、例年のコースから外れた台風が東北、北海道と甚大な水害の爪痕を残しましたが、被災地の皆様方おかれましては心よりお見舞い申し上げます。

それでは本日も早速、第2回目の鍛造学ブログを更新させて頂きます!

正直、なかなか定期的に配信するのは、慣れが必要と感じる今日このごろですが(苦笑)、
ぜひ皆様のお役にたてられる様、頑張って更新してまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします(笑)!

さて、今回の鍛造学ブログでは、弊社で行なった<鋳造品から鍛造品に置き換わった製品事例>をご紹介したいと思います。

当該製品(品名:錠前)は、従来から鋳造方法でつくられておりましたが、近年は後継者難や環境問題などで廃業される鋳造会社も多く、また品質の安定性に欠けることが多い製品なので「鍛造品でつくれないか?」との製作依頼がありました。


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お客様より預かった鋳造品サンプルの全体形状です。

P1010053m.jpg
サンプル品先端部(拡大)の表面の状態です。(先端付近の形状が変形して表面がブツブツです)


サンプルを拝見すると、写真のようにニッケルメッキは施されていますが、鋳肌のブツブツが残っており、製品全体が弓なりに反っていて、このままでは商品価値が低いと思われます。

また鋳物の製作図面はありましたが、現物のサンプル品を測定すると、まったくデタラメな寸法仕上りだったので(苦笑)、CADで再度図面を書き直し、出来るだけ現物に忠実になるように設計し直しました。

特にCAD設計する場合は、0.1mmでも輪郭線がずれると面データが成立しないので、人の感性で「もう少し大きく」とか「細くして」とかリクエストされても、木型を削るのであれば問題ありませんが、CADで線を描く場合は0.001mm単位まで数値を決めて入力しないと図面が書けません・・・(苦笑)。

ですから仕上り寸法より、見た目の形状が優先される製品の設計は非常にハードルが高く、基準になる寸法の特定に時間を要するのです。

この辺りは、鍛造図面設計におけるノウハウの部分がありますので詳しくは述べられませんが、秘密兵器を駆使して製品寸法をはじき出し、鍛造承認図を仕上げました。


P1010056m.jpg
サンプル品を測定後、弊社で書き直した鍛造承認用の製品図面です。


客先でこの図面の承認が得られれば、直ちにCAMデータを作成し、縦型マシンニングセンターで金型を切削し始めます。


P1010064m.jpg
CAMデータで制御して金型を彫るマシンニングセンターです。


金型が完成後、各部寸法検査がOKであれば鍛造試作に進みます。


P1010067m.jpg
完成した鍛造金型(オープンダイ方式)


左金型の上は鍛造試作サンプル(バリ付き)

そして、最終工程でトリミング(バリ抜き)して完成品になります。


P1010062m.jpg
客先のサンプル品(左)と今回新たに製作した鍛造品です。


いかかですか。

写真右側が今回製作した鍛造品で、左側の製品に比べて輪郭がスッキリとし、曲りや反りがないことがお分かり頂けると思います。

ちなみに、サンプルをご覧になったお客様には大変ご満足していただき、「これだけ高品質に仕上がるのなら、もっと早くから鍛造に切替えたほうが良かった」と...大変ありがたいコメントを頂戴いたしました(笑)。

この後、お客様の方で切削加工とメッキを施してピカピカの完成品になります。

ちなみにこの鍛造製品の場合、金型製作の着手から金型完成まで、6営業日で仕上げさせて頂きました。


この様に中野鍛造所では製品図面が相当デタラメな場合でも(笑)、サンプル品があればその寸法を実測データ化を行い、鍛造品を製作することも可能です。

既存製品の品質安定化や、メッキ後の仕上がり不良低減を図りたいお客様にも「鍛造化」はぜひお薦めです。
「鋳造製品」と「鍛造製品」では、強度はもちろん表面の仕上りレベルが、かなり違ってきますので。

もし、そのようなサンプル品や図面等お持ちでしたら、何なりとお気軽にご相談下さい。
いつでも迅速、丁寧、誠心誠意で対応させて頂きます。